「創造の神になりたい」とヤンセンさんは言った。


日本科学未来館で開催中の「テオヤンセン展 ~生命の創造~」と関連イベント「テオ・ヤンセンとストランドビーストのこどもたち」に先日行ってきました。

テオ・ヤンセン/THEO JANSEN 氏はオランダ在住のアーティストで、
1990年からストランドビーストという巨大アートを作っています。

ストランドビーストとは、
「オランダ語で、砂浜を意味する”Strand”と生命体を意味する”Beest”の2語を繋げたテオ・ヤンセン自身による造語。テオが創る”生物”の総称」
とのこと(テオ・ヤンセン日本公式サイトより)。

私は少し前TVでこの展示会紹介を見て、そのとき初めてストランドビーストをみました。
朝の仕度で慌しくしてたのにもかかわらず、その奇妙な物体に目が釘付けになりました。

“「創造の神になりたい」とヤンセンさんは言った。” の続きを読む

人生に茶目っ気を。 - 荒井良二のいろいろ展 –

荒井良二さんという絵本作家の展覧会を見て来ました。

「進める荒井良二のいろいろ展」世田谷文学館
http://www.setabun.or.jp/exhibition/arai/

作品をちゃんと読んだことはなく、会場で置かれている作品の絵本を
初めて読んだのですが、ページをめくるたび涙ポロポロ。

なんなんだろう、あのキラッキラした感じ。
どうしようもなくワクワクする感じ。

子供の頃、なんだかわけもなく楽しい気分になったり
明日や未来が楽しみで仕方がなかった、
あの頃の気持ちが、作品から溢れていたのでした。

「子供だけに読んで欲しいわけじゃない、大人にこそ読んで欲しい。」
と荒井さんのメッセージにありました。

確かに、私は作品に触れて、かつて当たり前に持っていて
今は失ってしまったと思っていた、あの頃の気持ちを
もう一度味わうことが出来た気がしたのです。

どの作品にもとっても茶目っ気があって、キュート。
この茶目っ気さって、生きていくことに実はとっても必要なのでは・・
そう感じました。

気がつくと「正しいかそうでないか」「損しないかどうか」
そんなことばかり考えてしまう大人たちへ。

人生に茶目っ気を。

薬師寺展@上野・国立博物館

日光菩薩・月光菩薩に会ってきました。

1時間の入場制限は覚悟してましたが、老若男女問わずの見学者に
「みんな疲れているのだなぁ」としみじみ感じ次第。
そういう私もそのひとりなのですが。

そんな疲れをじんわり癒してくださった両菩薩様の微笑み。佇まい。
ちょうど菩薩様がいるフロアへ移動する際
隣のフロアが少し高くなっていたので目線が同じ高さで対面することが出来ました。
しばらく対面にてその微笑みに見とれていたのでした。
気づくとほろほろ涙が。思わず合掌。
いでたちも素敵。360℃見られるようになっていて
私もぐるぐる回っていろんな角度から見てしまいました。
きっとこんな多くの人たちに見上げられて菩薩様、どんな気分なのでしょう。

帰りに友人が「きっと昔は皆貧弱な体型だったろうから、菩薩様の豊満な肉体美に
ミーハー的に見とれていたんではないかなぁ」と言っていたのが印象的。

今度はぜひ本場・奈良の薬師寺にてお会いしたいものです。


今はなき”じゅらく”対面のレストランじゅらくでランチして、アメ横を散策。
帰りに「みはしや」にて念願のあんみつをば。昔ながらの味、正統派ですね♪
幸せ~☆

オープンスカイ2.0 | 八谷和彦 @ICC

八谷和彦さんの展示 OpenSky2.0をみに初台にあるICCに行ってきました。

以前書いたことがあるとおり、1年ほど前に学校で先生と生徒という立場で3ヶ月間ご一緒させていただいたことがある八谷さん。私はいまだに八谷先生と呼んでいます。

その八谷先生が今やられているのが、あの「風の谷のナウシカ」に出てくるメーヴェを作っちゃおうというプロジェクト オープンスカイなのです。 “オープンスカイ2.0 | 八谷和彦 @ICC” の続きを読む

日本の表現力 @ 新国立美術館

今月21日からオープンになった
新国立美術館(六本木)へ。
文化庁メディア芸術祭の企画展
「日本の表現力」が会期中なのです。

毎年やってるメディア芸術祭の
10周年企画ということで、
「これまでの日本のコンテンツの有名どころ、
みーんな持ってきたよん」
と言わんばかりの盛りだくさんさ。

アート/エンタ/アニメ/マンガ それぞれを年代順に見せていく様は
やはりそれだけでも時代の流れを体感できたりして
なかなか面白かったです。
モノクロのCMは初めてではなかったけど、改めてみると新鮮だったなぁ。
ルル3錠とか江戸むらさきとか。(1950年代制作)

順にみていくと、1970年代のスペースに他以上の人だかりが。
なんでここだけ詰まってるんだろう、と思ったら
「仮面ライダー」と「ゴレンジャー」の映像を見入ってる人たちでした。

やっぱり懐かしさが先行するものなのだなぁ、と。
見に来ている人たちを観察しても、家族ずれだったり、おばあちゃんと孫だったりと
若干普段美術館に来る層とはまた一味違った来場者構成になってた気がする。
そして口々に当時のことを言い合ってるのが、なんだか微笑ましかったり。

作品に関しては年代が現在に近づくにつれて、微笑ましさのようなものから、
ちょっと神経質な感じのものが多く感じられたのは気のせいかな。
たとえば「やわらか戦車」は妙にくせになる面白さがあるのだけど、
諸手をあげて「これ好き!」って言えない何かがあるんですよねぇ。。うまくいえないけど。
シュールさの裏にいろんな意図を汲み取ろうと反射的にしてしまうせいなのか。。

展示3「未来への可能性」はピンとくるものが少なかったけど、
私の好きなGLOBAL BEARINGはやはり結構人が集まってた。


一通りざっとみておよそ50分。
混んでいたわりに疲れなかったのは
全体の会場の広さと休憩スペースが
随所に設けられているおかげ。
青空を見て一呼吸してから帰りました。

会期は2月4日まで。あと1週間!
入場料無料^^

日本の表現力 公式サイト

ビル・ヴィオラ:はつゆめ @森美術館


↑クリックして拡大表示
「ビル・ヴィオラ:はつゆめ」
もうすでに終わってしまったけど、先週の8日(展示最終日)に
森美術館まで見に行ってきました。(1週間も前のことだけど記録として)

ビデオ・アートだけの展示を観にいくのは初めてだったけど、
なかなか新鮮でした。

全体的に映像をスローモーションにして見せるものが多く、
なかには1分の撮影映像を、80分に引き伸ばして見せるという作品もあり。
いったい1コマどれくらいひきのばしてるんだろ。。私には計算できませんが><

じーっと目を凝らして見ないと、そのわずかな動きの変化も読み取れない作品も
あったりして、これはえらく観る側に拘束を強いるんだなぁと思ったり。
ぴんと来ないものは勇気を持ってスキップする必要があるということに途中で気づきました。

印象に残ったのは入ってまず最初にあった展示「クロッシング」。
とりあえず度肝抜かれます。気づいたら私口あんぐり状態でしたから。


「ドロローサ」(「悲しみ」の意)は、フォトスタンドのような向かい合わせの液晶モニターに映る
男女の作品。
実物はこんな感じ→ドロローサ
感情の波動のようなものがじわじわと伝わってくる、呼吸する絵画のような作品。
ちょっと家に欲しいかもと思いました。

「ラフト/漂流」は何の接点もない19人の男女に、いきなり大量の水が襲い掛かるというもの。
そのとき人はどうなるのか。
これもやっぱりスローモーションなのだけど、メッセージとしてはわかりやすかった。

ビル・ヴィオラ氏のコメントはこう↓。
「我々の生活をコントロールし悪影響を及ぼす見えない力に対する戦い」とヴィオラはこの作品を説明します。「私には最終的には一人の犠牲者も出ないということがわかっていました。我々の人生がいかに困難で悲劇的であろうと、人間は生き延び進み続ける道をいつも見い出すことを、私は固く信じているのです。」

そしてチラシやウェブでも表紙として使われている「《ミレニアムの5天使》」。
5つのスクリーンから各々天使が登場するのだけど、いったいいつ出てくるのかわからない。
その突如の出現を観る側は暗闇の中息を潜めて待つわけです。
「旅立つ天使」(この記事のトップにある写真)は得もいわれぬ幻想美で、
ビデオ・アートの本質をみた気がしました。
ほんとこれだけでも観にいったかいがあったというもの。

東京は終わってしまったけど、このあと兵庫に巡回するそうなので
お近くの方にはおすすめ。

ビル・ヴィオラ:はつゆめ展
参考になる解説:日刊デジクリ

江戸の誘惑

久々に和モノに触れてきました。
江戸東京博物館(両国)の企画展
江戸の誘惑」

最終日ということで「20分待ち」の札が出るほどの盛況ぶり。
あまり前情報仕入れずに出かけたのですが、いやーこれは良かった!!!
浮世絵とか美人画って全く詳しくないけど、単純にその色彩感覚に驚いてしまいました。
「やっぱり昔から日本人ってセンスよかったのね!」と妙に感激してしまったり。

また実物で観るとWEB上でみるのとやっぱり違って、
発色の綺麗さにビックリ。
1世紀もよくご無事で。。と声をかけたくなりました。

音声ガイドを利用。解説があの柳家花禄さんで、
落語家さん独特の味な語り口がまた好ましく。
落語の作品と、浮世絵の描かれた時代を絡ませた語りは
私を現代からふと江戸の世界に引き込んでくれました。

当時の遊女は、みんなの羨望の的だった。
最先端の衣装(着物)を身にまとい、簪などで粋にきめたヘアスタイル。
そして当代の絵描きは、彼女達をこぞって描いた。
その描かれた絵を庶民は一目見ることを望み、描かれた遊女の姿を
みて、今何が美しいとされているかをつかんだ。

・・これって、今でいうファッションモデルだ。
なるほど。そう思うと、俄然浮世絵に親しみが湧いてきました。
私も江戸庶民の目になって観ていた気がします。

またちょうど仕事でデザイン案を練ってたこともあり、
ついつい色使いにヒントを得ようとしている自分もいたり^^;

お気に入りは歌川豊春「雪月花図」「向島行楽図」
喜多川歌麿「三味線を弾く美人図
北斎の「鏡面美人図

・・と書いてて、「雪月花図」がネット上に画像ないこと発覚。
やっぱり図録買っとくんだった。。orz

なにはともあれ、浮世絵との距離が近くなったことが嬉しく。
行ってみるものです♪

惹かれちゃってスミマセン。

学校ゼミのフィールドワークで日本科学未来館へ。

「サイエンス×フィクション展」の数ある展示でイチバン惹かれてしまったもの。
それは、ヒトの脳みそ。


液体の中に入った脳が展示広場の片隅に。
気づかないで会場を去るところだったほど、ひっそりと
それはあったのですが、見つけて思わず「うわーっ」。

模型などでは見たことあるけど、
生身の(新鮮そうな?)脳を観るのは多分初めて。


うわーっ、こんな大きさなんだ~
うわーっ、この全体を覆う薄い膜はなんだ~
うわーっ、小脳って結構大きいんね~

ひとりでじーっと張りついて見ていたら
解説員のおばちゃんに「そんなにニコニコして嬉しそうね~」
と言われる始末^^;

いやでもホント、”脳”ってなんだかドキドキしてしまう。
未解明の部分をたくさん持っている、生命の神秘的なことも
さることながら、なんていうか”感触”に妙に惹かれるのです。

いつも脳を見ると、白子を連想してしまう私。
ふわっとしてるところと、ぷりっとしているところが似てませんか?

ちなみに、脳ミソ、食べるのも好きです。牛の、ですが。
パダン料理(インドネシア料理の代表)にあるですよ、
牛の脳みそ。これ、申し訳ないけどホントに美味いんです。
http://yorozu.indosite.org/iijc/oshima/restau/padang.html

と、脳を観るとついあらぬ方向へ思いが行ってしまいます。
我ながら不謹慎だわと思いつつ、フェチっぽい惹かれ方が
自分でもナゾ。。

チェコとスロヴァキアの版画展 in 神保町


小雨降る3連休の初日、神保町まで。
お目当ては、ギャラリー福果で開かれている
チェコとスロヴァキアの版画展。

最近スロヴァキアを中心とした中欧の文化・アートに興味があって
少しずつ調べてるのだけど、スロヴァキアの版画家
ドゥシャン・カーライの原画が見られるという滅多にないチャンス。

ギャラリーは6畳強のこじんまりとしたスペース。
カーライのものが数点と、その他2人の版画家の作品も展示。

作品はポストカード程度の大きさのものも多く、
そばに近づいてまじまじと見てしまいます。
この緻密な描写・・・制作風景を想像するだけで
気が遠くなります。

カーライといえば、絵本の挿絵でも有名だそうで
販売されていた「不思議の国のアリス」の英訳本は、
私もかなり欲しくなってしまいました。。
5000円という高値でも、多分あの時私の荷物が軽ければ
買っていたことでしょう。

展示でイチバン気に入ったのは、カタリナ・ヴァヴロヴァー
モノクロで勝負のカーライとは異なり、作品のポイントに
必ず赤を色付けするのがこの人の作風のよう。
弱すぎず、どぎつくもない、ほどよいヴィヴィッドさが
妙に心惹かれました。

※ 写真はドゥシャン・カーライ/レディング監獄囚の唄(オスカー・ワイルド)

「恋愛物語展」に行ってきました。

1ヶ月前のことだけど、ずっと記録残しておこうと
思ってたので載せてみました。

日本科学未来館の「恋愛物語展」。

入って驚いたのはその柔らかい雰囲気。
淡いピンク色の空間に気持ちもやわらいで、
お勉強モードから感じるモードにシフト。

各説明パネルには、
ワタシのような科学に致命的に疎い人間でさえも
思わずひきつけられてしまうようなキャッチコピーの数々。
魅力的なエピソードを読んでいくうちに、
「遺伝子」に健気さや愛おしさまで感じてしまったり。

展示の仕方次第で、イマジネーションをこれだけ広げられる、
そんなことにも気づかせてくれる企画展でした。
大満足!