「創造の神になりたい」とヤンセンさんは言った。


日本科学未来館で開催中の「テオヤンセン展 ~生命の創造~」と関連イベント「テオ・ヤンセンとストランドビーストのこどもたち」に先日行ってきました。

テオ・ヤンセン/THEO JANSEN 氏はオランダ在住のアーティストで、
1990年からストランドビーストという巨大アートを作っています。

ストランドビーストとは、
「オランダ語で、砂浜を意味する”Strand”と生命体を意味する”Beest”の2語を繋げたテオ・ヤンセン自身による造語。テオが創る”生物”の総称」
とのこと(テオ・ヤンセン日本公式サイトより)。

私は少し前TVでこの展示会紹介を見て、そのとき初めてストランドビーストをみました。
朝の仕度で慌しくしてたのにもかかわらず、その奇妙な物体に目が釘付けになりました。


すぐに頭に浮かんだのは映画「風の谷のナウシカ」に出てくるオウム。
形は違えどその不気味さとそれだけでは終わらない奥の深さに共通点を感じました。


未来科学館での間近で観ることができたビースト。
よくみれば素材が工業用プラスティックチューブだったり空気を送り込むポンプがペットボトルだったり素朴だし、細部はどこか適当さが漂います。一見巨大不気味な物体にも観るこちらの緊張感がとかれるのはそのゆるさのせいでしょう。

ちょうど観に行った日はテオ・ヤンセンご本人の来日デモンストレーションがあって
巨大なビーストが風を受けて歩く様子を人山の隙間から観ることができました(ものすごい観客の数でした!人気ですね)
どこかユーモラスで雄大さもあり、本当に不思議な作品です。

展示では初期のビーストから試行錯誤の過程を経ながら変化していく様子が示されていました。
身体が大きくなり、神経が張り巡らされ、障害物を察知して動きを判断することも出来るように。
まさに生命の進化のようです。


この展示を観る前にイベント「テオ・ヤンセンとストランドビーストのこどもたち」にも行ってきたのですが
そこではヤンセンさんのトークショーを聴く機会に恵まれました(お誘いいただいたSさんに感謝!!)

印象的だったのは、創作過程の話の中で司会の方が「ヤンセンさん、手術できるお医者さんのようですね」と言ったら
ヤンセンさんが「うーん、医者より神になりたいな。医者は治すだけだから。創造の神になりたいです」とおっしゃったこと。

アーティストだもの、それはごもっとも、とそのときは笑いながら聞いていたのですが
その後に未来館での生ビーストをみて、あぁ、本当にヤンセンさんは生命体を創り出そうとしているんだと実感。
ストランドビーストの特徴である「歩行」だって細かな仕組み(物理の計算が入ってる)は理解するの難しいけど
みればそれが人間の二足歩行を想起させるものだと気づく。

ヤンセンさんは、自分の想像力を発揮してその想像を実現させるために
日々創作を行っています。オランダの浜辺にある工房で。

デモでは部屋の床を歩行してましたが、ストランドビーストの動く姿を見るなら
その名の通り、浜辺を歩行するビーストが良いと思います。その世界観にしばし見入ってしまいます。


数年前BMWのCMに登場したTheo Jansen氏&ストランドビースト

アーティストの創作活動のことを生で聴けたのはワクワクする時間でした。イベントの前半に登場した”ヤンセンの子どもたち”の創作熱もすごかった。
ヤンセンさんが学研の「大人の科学」付録ミニビーストにご満悦な様子も微笑ましく。

ミニビーストを撮影するヤンセンさん。そばに寄り添う犬はヤンセンさんの愛犬マーフィ。
ヤンセンさん曰く「世界でもっともストランドビーストを知り尽くしている犬」とのこと^^

帰りにはイベント参加者限定のクリアファイルもいただいちゃいました。ヤンセンさんの直筆サイン入り。嬉しい:)

◇関連イベント:「テオ・ヤンセンとストランドビーストのこどもたち」Ustream録画