「ガール」 奥田 英朗

働く女性の栄養ドリンク的作品。
スカッとします。

短編集の主人公はみな30代。会社での社歴も10年越え、中には役職付きになって部下を持つ女性の主人公も。ありそうで意外となかった、働き続けている女性が直面することや気持ちの揺らぎを綴った作品。
働くOLというと唯川恵の作品が思い浮かびますが、もっと主人公たちがサッパリしているというかナヨナヨウジウジしてないのが新鮮。ちょっとオヤジ入ってるところなんかもなかなか。

1話目の「ヒロくん」が痛快で良かった。男尊女卑思想の男に立ち向かう女性の話。
ヒロくんというのは主人公が自分のダンナをそう呼んでるのだけど、このダンナさんが良い。
妻より収入が少なかろうと、妻が出世しようと僻んだり不機嫌になったりしない。
弱気になって帰ってきた奥さんには優しく寄り添って挙げる。本当に器が大きい人というのはこういう人なのではと思います。

そういえば唯川恵「肩越しの恋人」を読んだ母が、
「そんなさー、みんながみんな、四六時中恋愛のことばーっかり考えてるわけじゃないと思うんだよね」
と言ってけど、私もほぼ同意。そればっかの人ももちろんいるし、そういう時期が人にはある
というのもわかるけど、女性だって社会では男性のように仕事や会社のことを考えるのだ。

というわけで、早速母親にこの本を貸したのでした。多分気に入ってくれるはず。

ガール (講談社文庫) ガール (講談社文庫)
奥田 英朗

講談社 2009-01-15

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